趣味の話:みちのく潮風トレイル⑥気仙沼→三陸町

f:id:ichapy:20220410145126j:image
気仙沼から先は火曜日に休みを入て、
2021年5/22~26の5日間で歩きました。
(わたしのお仕事は火木金です。)

予定は1ヶ月ほど先の天気予報を見て、
なるべく好天が続く週を選んで決めました。
https://www.toshin.com/weather/

このサイトでは;
 ・当日含め2週間の1時間毎の天気
 ・そこから45日目まで日中と夜間の天気
 ・46日目から90日目は1日毎の天気
を見ることができます。
3週以降は統計から予報を出していますが、
意外と当たるなと感じます。

この頃は比較的雨が多く、
22(土)と23(日)は雨~曇りの予報。
「まあ1~2日ならいいか?」
と考えて決行しました。

わたしのルートはノースバウンドで、
距離はデータブック準拠です。


土曜日:浪板橋→『こご磯』手前
(438.87-441km)

土曜日は高速バスで仙台に向かい、
更に高速バスを乗り換え南気仙沼駅へ。
到着は日没後(19:17)で雨も降っていました。
あたりは広々として、
新しい駅舎がポツリと建っています。
f:id:ichapy:20220410141643j:image

震災前に1度、
南気仙沼駅に来たことがありました。
美味しいカツオのハラスをいただいた、
駅前の飲み屋さんはありません。
全て流されたのでしょう。

歩いて浪板橋に向かう途中で晩ご飯。
シャークミュージアム2Fのお寿司屋さん。
f:id:ichapy:20220410141848j:image

気仙沼湾に注ぐ鹿折川にかかる橋が、
前回ストップした浪板橋です。
ここから南下して気仙沼大島に向かいます。

海沿いの低地にあった建物はみな破壊され、
道も工事が始まっていました。
気仙沼市内は工事が多く、
迂回路のチェックを怠ると迷いますが、
ここはそのまま進めました。
f:id:ichapy:20220410141929j:imagef:id:ichapy:20220410142042j:image

雨の中野営する場所を探しますが、
夜では見つけるのも困難です。
かなえおおはし(気仙沼湾横断橋)をくぐり
f:id:ichapy:20220410142109j:image
218号線沿い『こご磯』に上る道の手前、
道路脇にツェルトを張って野営しました。


日曜日:『こご磯』手前→巨釜トイレ脇
(441-485.92km)

日曜日は朝から曇り予報ですが、
起きるとまだ弱い雨が降っていました。
濡れたツェルトをザックの後ろにつっこみ、
4時には歩き始めます。

道をしばらく行くと、
かなり野営しやすそうな場所がちらほらと。「もう少し歩けばよかった?」
と頭をよぎりますがまぁ後の祭り。
ただ夜はおそらく真っ暗でしょう。

気仙沼市街地と気仙沼大島は、
以前来たときはフェリーで渡りましたが、
今は橋でつながっています。
f:id:ichapy:20220410142141j:image
ここから気仙沼大島をぐるり1周。f:id:ichapy:20220410142226j:imagef:id:ichapy:20220410142253j:image

龍舞崎から回る道は通行不可能とのことで、
迂回路を通りました。
f:id:ichapy:20220410142318j:imagef:id:ichapy:20220410142341j:image

みちびき地蔵

f:id:ichapy:20220410142417j:image

十八鳴浜は踏むと音が鳴る砂浜。
震災前に来たことがある場所です。
ここには9:25に到着。
この頃には雨は止んでいます。
f:id:ichapy:20220410142513j:image

亀山ではカモシカに遭遇(写真撮れず)。
f:id:ichapy:20220410142554j:imagef:id:ichapy:20220410142539j:image
大橋をまた渡り唐桑半島に入ります。
いきなり工事迂回で迷いそうになりますが、
日向貝のヤブツバキを見つけルート復帰。
f:id:ichapy:20220410142631j:image

ここでだいたいお昼頃。
止まって休まず、
お昼ご飯は歩いたまま食べて進みます。f:id:ichapy:20220410142716j:imagef:id:ichapy:20220410142741j:image
御崎を回って津波石→半造→折石→巨釜。f:id:ichapy:20220410142823j:imagef:id:ichapy:20220410142858j:image津波石は本当に津波で打ち上げられたもの。
f:id:ichapy:20220410142927j:image明治三陸津波で折れた折石。
東日本大震災では折れなかったそうです。f:id:ichapy:20220410143011j:image

この日は巨釜駐車場横にある、
トイレ脇にツェルトを張って野営。
海に面していますが、
たいした風もなく静かに休めました。


月曜日:巨釜トイレ脇→六ヶ浦漁港手前
(485.92-533km)

この日は朝からいいお天気。
4時には出発です。
巨釜から町中を通り海沿いの道を通ります。
f:id:ichapy:20220410143513j:image

大理石海岸は美しいんですが周りが工事中。f:id:ichapy:20220410143529j:image
岩手県に入り要谷漁港でまたカモシカ遭遇。f:id:ichapy:20220410143550j:imagef:id:ichapy:20220410143559j:image
気仙中学校跡を抜けると気仙川を渡り、
f:id:ichapy:20220410143655j:imagef:id:ichapy:20220410143705j:image
f:id:ichapy:20220410143738j:image
陸前高田高田松原復興祈念公園へ。
ここは陸前高田市街地のあった場所で、
奇跡の一本松があるところです。
陸前高田は15mを超える津波に襲われ、
100人中10人が死亡または行方不明という、
極めて大きな被害を受けました。
f:id:ichapy:20220410141629j:imagef:id:ichapy:20220410143810j:image
f:id:ichapy:20220410143822j:image

市民の森を通った先にある小友浦は、
震災前は干拓地だったそうです。
震災後堤防が崩れてできた干潟に、
数年で豊かな生態系が出現。
(平成28年環境省重要湿地に選定される)
それを知らない陸前高田市の水産課が、
以前からの計画通り埋め立てたとか。
知ってるとちょっともやもやします。
f:id:ichapy:20220410143849j:image

漁港をいくつか抜けて、
17時過ぎに黒崎仙境に到着。
f:id:ichapy:20220410143930j:image
また日没までは1時間以上あるので、
進むことにします。
これが失敗でした。


足ドンされた

黒崎仙境を過ぎた先は、
海沿いの林の中を通ることになります。
大祝漁港と小祝浜を抜けて進むうち、
日が落ちて暗くなってきました。

木々の間は影が濃くなり、
先があまり見通せなくなります。
もうずいぶん進んで、
そろそろ自然道を抜ける?という登り道。

ガサリという音。
何かに遭遇しました。
見えるのは木々の向こうの大きな黒い影。
こちらを伺っているように感じます。

行動音は大きかったはずですが、
熊鈴は着けていませんでした。
熊スプレーは持っていません。

「なんだろう?クマじゃないといいけど」
なんて思っていると、

ドンッ!

という音と共に鼻息みたいな音。
思いきり地面を叩く音です。

まずいと感じ後退しますが、
下りで静かに後退するのも難しい。
もういいやと思って、
ガサガサ音をさせて下りました。

追ってくる気配はありません。
心臓は早鐘をうったよう。
もうあたりは暗く、
脚は疲れで痛みます。
進むことも戻ることもできません。

周り中どこから何が来るかも分からず、
すごいおっかないんですが。
覚悟を決めて、
道脇の茂みにツェルトを設営。
そこで野営しました。


火曜日:六ヶ浦漁港手前→綾里郵便局前
(533-574.12km)

ぐっすり眠ったら気力も体力も回復します。
真っ暗ですがヘッドライトを装着して、
4時には行動開始。

何かに遭遇することもなく、
10分かそこらで民家脇に出ました。
あれクマじゃなくてカモシカかなぁ。
こわかった。

広田海水浴場から門之浜漁港を通り、
f:id:ichapy:20220410144142j:imagef:id:ichapy:20220410144156j:image

碁石海岸を抜けると、
f:id:ichapy:20220410144116j:imagef:id:ichapy:20220410144125j:image
f:id:ichapy:20220410144342j:imagef:id:ichapy:20220410144405j:image

大船渡に着きます。

大船渡市の資料によると津波は最大11.8m。
ルートの大部分は7m以上の津波によって、
水没したところを通っています。

警察署前から佐野橋を渡りセメント工場へ。
f:id:ichapy:20220410144447j:imagef:id:ichapy:20220410144457j:image
陸前赤崎駅には16時前到着。
昨日の経験があるので進むか迷いましたが、
こりずに進むことにします。
f:id:ichapy:20220410144530j:image

無事稜里峠を抜けて不動滝を見て、
f:id:ichapy:20220410144602j:imagef:id:ichapy:20220410144745j:imagef:id:ichapy:20220410144805j:imagef:id:ichapy:20220410144818j:image
稜里郵便局前から綾里駅へ。
この日は泊まるところを決めていたので、
リアス線で三陸駅に移動です。


潮目

泊まるのは越喜来(おきらい)の『潮目』。
トレイルエンジェルとして有名な、
片山和一良さん(わいちさん)のところです。
f:id:ichapy:20220410145115j:image

潮目は震災資料館であり、
地域の人が集まる場であり、
イカーが集う場所でもあります。

実際泊まってみて分かりましたが、
みんなわいちさんの人柄に惹かれ、
集まってくるのだなと感じます。

この日は北から南へ向かうハイカーが1人、
わたしの先に泊まっていました。
スルーハイカーさんです。
ほぼハイカーさんと会うこともなかったので
いろいろ話をして楽しく過ごしました。

潮目は維持費をお支払いすることで、
泊めてもらうことも可能です。
屋根の下でゆっくり休みました。


水曜日:綾里郵便局前→羅生峠方面分岐
(574.12-602.89km)

この日は綾里から三陸駅まで歩く予定。
30km弱なので余裕があります。
わいちさんにお礼をして、
三陸駅を朝一番で出発して綾里駅へ。
郵便局前まで戻りルート復帰です
f:id:ichapy:20220410145249j:image

綾里の町の先には綾里半島があります。
立石山から綾里崎に向かい、
f:id:ichapy:20220410145326j:imagef:id:ichapy:20220410145341j:imagef:id:ichapy:20220410145423j:image

ちょっと綾里灯台に寄り道して、
f:id:ichapy:20220410145447j:imagef:id:ichapy:20220410145645j:image

また綾里の町に戻ります。

綾里は明治三陸津波で遡上高38.2mを記録。
東日本大震災では遡上高40.1m。
昔から津波の被害を受けてきた場所です。
f:id:ichapy:20220410145810j:image

気持ちの良い県道9号を歩き、
f:id:ichapy:20220410145843j:image
恋し浜駅甫嶺駅と抜けて、
f:id:ichapy:20220410145909j:imagef:id:ichapy:20220410145923j:image
f:id:ichapy:20220410145932j:imagef:id:ichapy:20220410150154j:imagef:id:ichapy:20220410150215j:image
余裕があるのでカフェビアンでお昼ご飯。
ハンバーグがさいこーに美味しい!
f:id:ichapy:20220410145745j:image

ここから未音崎湾望台を通り潮目に到着。
f:id:ichapy:20220410150130j:image
越喜来のルートを少し歩いて、
帰路についたのでした。


この回の学び

暗い中での野営地探しは大変
自然道の行動では時間に余裕を持つ
クマ対策を考える

自然が近いのは楽しい部分だけではなく、
おっかないことも出てくる。
そんなことを感じたのを思い出します。
(つづく)

f:id:ichapy:20220410150239j:image


東日本大震災について - 大船渡市
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.city.ofunato.iwate.jp/uploaded/attachment/9461.pdf&ved=2ahUKEwiEioHO0Yj3AhUHfN4KHZpfB3QQFnoECAQQBg&usg=AOvVaw3NydTROf_gCqleEKx5Orhg